日本の制服文化
日本は制服大国
幼稚園から高校まで制服だったという人も多いのではないでしょうか?特に中学校や高校は私服よりも制服を指定している学校の方が多いので、大学に入ってから初めて私服で登校した、という人もいると思います。また、社会に出ても飲食店や企業のショールームなど規模の大きさにかかわらず制服を導入している職場がたくさんあります。これだけ制服が普及している国は日本以外にありません。
しかも日本では制服を着用しなくてもいい場面でも疑似制服を求める傾向があります。就職活動を思い浮かべてみてください。就活生はみんな黒や紺のスーツを着て、同じような髪形をしていますよね?個性を無視したかのようなあの服装は制服に近い機能を持っている「ほぼ制服」であるといえます。
「ほぼ制服」に走る理由とは?
必要がないのに「ほぼ制服」を着るのはなぜでしょうか? 考えられる理由は二つ、「失敗回避の志向」と「個性の埋没志向」です。
「失敗回避の志向」はネガティブ思考が多い日本人の気質を大いに表しています。「できるだけ失敗したくない」という心理が就活スーツスタイルを生み出しているんですね。
「個性の埋没志向」は「目立ちたくない」「自分だけ浮いている?」という状況を避ける気持ちのことです。個性を重要視する風潮になってきてはいますが、「みんなと一緒であること」を求める場合もあります。社会全体が変わらなければ「ほぼ制服」がなくなることはないでしょう。
昔は「制服廃止運動」もあった
今から30年~40年前に「制服廃止運動」がありました。これは「学校や大人から管理されて抑圧させた世界から自由になる」ことを目的としたものですが、現在はすっかり下火状態…。むしろ、若い世代の意見や要望を取り入れておしゃれなデザインの制服が増えてきたこともあって廃止どころか、応募者を増やすために制服に力を入れているところもあるほどです。
進化する制服
合成繊維の発達もあり、制服は軽くて通気性が良くアイロンがけも不要、と快適なアイテムになりました。基本の制服にベストやセーター、ブラウスなどのオプションがついてバリエーションが増えたこともあり、「制服だからこそできるファッションを楽しみたい!」という思考を持つ傾向もあるようですよ。
企業ではどうか?
事務服など会社で着用する制服は1986年に男女雇用機会均等法が施行された後に「男女差別の象徴になる」「経費がかかる」として廃止するところがたくさんありました。確かに制服を用意するためには費用がかかるし、着替えるスペースも必要です。事務員はお客さまと対面する機会はそれほどないので、コスト削減の一環として制服を廃止してもおかしくありませんよね。
ですが、銀行の窓口のようにお客さまと直接接する職場ではそれなりにコストはかかってもお客さまに安心感を与える方がメリットが大きいとして制服を導入しているようです。